団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

時評「学力調査結果と離婚率、生涯未婚率」 (2007/10/25)

(「ブログ時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 全国学力調査の結果をメディアが一斉に流しています。都道府県別では沖縄、高知、大阪あたりが下位で厳しいよう。北海道や九州も下位グループに入るようです。上位グループは秋田、福井、富山、石川など東北・北陸が占めています。この傾向と合致する社会経済データで真っ先に浮かぶのが離婚率です。

 直ぐに取り出せるところで「図録▽都道府県別の離婚率」(社会実情データ図録)を見て下さい。グラフの説明を引用するとこうです。「都道府県の中で離婚率が最も高いのは沖縄の2.71(件/千人)であり、大阪(2.43)、北海道(2.42)がこれに続いている。逆に、離婚率の最も低い県は、新潟(1.49)であり、島根(1.52)がこれに次いでいる。この他、富山、石川、秋田など、北陸から東北の日本海側にかけてで離婚率が低くなっている」

 高知は以前の勤務地で、昔はもっと離婚率が高く全国トップを争ったものです。警察・司法を担当していたので家裁の調査官に取材したこともありました。離婚した結果は母子家庭とかになる訳で、勉強に身が入らないこともあろうかと思いますが、もっと大きな社会的な雰囲気が影響することもあり得ます。

 北陸は男性の生涯未婚率(50歳時点の未婚率)が際立って低い特色もあります。「表12-37 都道府県,性別生涯未婚率:1920〜2000年」で確認して下さい。逆に沖縄・高知・大阪はこれも高いですね。北陸では浄土真宗などの宗教的な基盤が効いているようにも感じています。

 離婚率が万能でないのは島根をみれば分かります。離婚率は全国で2番目に低いのに、学力調査は中位グループです。また、生涯未婚率最高はもちろん東京ですから調査結果とは合いません。社会にあるもっと多くの、様々なファクターが影響するはずです。

 ※参考までに 第152回「20代男性の3人に1人は生涯未婚の恐れ」をあげておきます。



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