毎日新聞の「おわび」は不成立ではないか [BM時評]

 英文サイト不適切記事問題で毎日新聞が20日朝刊で1面肩に掲載した「英文サイト出直します 経緯を報告しおわびします」と、2ページに特設した検証記事・「開かれた新聞」委員会の評価を読んで、中身は予想外に率直だなと思うと同時に、これは「おわび」として成立していないと感じました。

 「日本についての誤った情報、品性を欠く性的な話題など国内外に発信すべきではない記事が長期にわたり、ほとんどチェックなしで掲載されていました」と認めた時点で事態の深刻さは明らかです。さらに「内部調査の結果、問題のコラムは掲載の際にほとんどチェックを受けず、社内でも問題の大きさに気づかずにいたことがわかりました。何度もあった外部からの警告も放置していました」と、具体的な外部指摘があったのに放置していたことまで認めています。

 「昨年10月、米国在住の大学勤務の日本女性から内容を批判する英文メールがデジタルメディア局に届いている。『正確さについて保証しない』との断り書きがあっても掲載すべきでないというもので、理由として▽論理的に考えれば記事はウソに違いないと思う▽日本文化をよく知らない人たちに誤解を与える――ことを挙げた」という事実まで明らかにされると、新聞社全体としての管理責任放棄は免れ得ないと思います。誤報ではなく、虚報を書いて、読者に指摘され、さらに無視して、虚報を書き続けたのです。

 「検証踏まえ2人追加処分」として「99年4月から04年6月まで総合メディア事業局長だった渡辺良行常務について役員報酬20%(1カ月)返上の追加処分」などとあるのですが、今回の検証を踏まえて処分を全面的に見直すのが普通の在り方でしょう。新たに明らかになった問題点の大きさに追加処分が追いついていないのは明白です。

 また、ネット上で毎日批判が燃え上がったことについて「『開かれた新聞』委員会委員に聞く(2)」で作家・柳田邦男氏が「失敗に対する攻撃が、ネット・アジテーションによる暴動にも似た様相を呈しているのは、匿名ネット社会の暗部がただごとではなくなっていると恐怖を感じる」と述べています。この発言は本当なのでしょうが、当事者の新聞社が掲載するコメントではないと思います。「おわび」不成立の印象を強くする大きな要因です。