農水省は事故米ビジネスを容認していた? [BM時評]

 米販売会社「三笠フーズ」などが事故米(農薬・カビ毒汚染米)を工業用として国から安く買い取り、食用に転売していた事件で、食品についての倫理観がここまで落ちていたのかと、大きなショックを受けました。14日にマスコミを通じて流された同社社長の説明文書には「2002年に福岡県内の米穀飼料製造販売会社『宮崎商店』を買収した際、元経営者から『(事故米は)上手にやればもうかる。私はその方法を熟知している』と教唆され、利益の上がる商売になりそうだと見込んで買い取りを決断した」とあり、以前から業界内で不正な転売が横行していたことを認めています。

 メディアのこれまでの報道で、農水省が主張するような「工業用のり」に事故米が使われることはなく、タピオカやコーンスターチが原料となっていると伝えられています。

 また、「9日の農水相記者会見」で「三笠フーズは、大阪が本社で工場が福岡であるにも関わらず、北は北海道から南は沖縄までの全国津々浦々の農政事務所から事故米を購入しておりまして、その理由としては、実は農政事務所の方から事故米がある度に、おたく買いますかという連絡があったという情報もある」との質問が出て、大臣は調査中としか答えられませんでした。

 12日の記者会見では「長年、不正な事実を見抜けなかったということは、大変残念なことであります。それもあり、再発防止の体制を一日も早く構築をすることであり」と弁明していますが、農水省側が本当に何も知らなかった可能性は極めて薄いでしょう。事実上、食用に転売されるのを容認していたとしか考えられません。三笠フーズなど3社が不正をしたばかりでなく、食の元締めである農水省官僚の倫理観が希薄になっていたとは恐ろしいことです。

 【追補】ブログでは「はてなブックマーク > メタミドホスよりアフラトキシンB1の方が危険だが、 - 食の安全情報blog」などでメディアの安全性認識に議論が起きています。しかし、少なくとも国内では「口に入れる食品」に対しては別格の扱いをするとの信義則があったはずなのに、易々と破られていたことが、本質的な問題です。比べれば、これまで発覚した「食の偽装」など可愛らしい出来心でした。「急性中毒が起きていないから多分、安全」では済まない毒物を、濃度レベル不詳のまま、子ども達にまで食べさせたのです。