月120時間まで残業の労使協定:滋賀の病院 [BM時評]

 病院の医師不足、人手不足はますます顕在化していますが、労使協定で月120時間まで残業を許すとは、目がくらむような驚きです。中日新聞の「勤務医の労働改善に高い壁 時間外勤務の上限“過労死ライン”超」は「県立3病院の医師らの時間外勤務で労働基準法違反があった問題で、県病院事業庁などは先月末までに労使間の協定を結び、大津労働基準監督署に届け出た。協定内容は現場の実態を考慮して、厚生労働省が示す過労死の認定基準を超える時間外勤務を労使ともに認めるしかなかった」と報じました。

 1日8時間の法定労働時間を超えての勤務には労使協定が必要なのに、滋賀県立3病院は法を無視した運用を長年続けてきました。内部告発からの是正勧告を受けて労使で協定を作ったら、過労死ラインと呼ばれる月80時間まででは病院が運営できず、120時間という恐ろしい数字で折り合ったというのです。

 医師ブログでは議論が巻き起こっています。「先例は作られた」(新小児科医のつぶやき)は「滋賀では医師側が自ら進んで提案し受け入れた経緯があるようで、これも画期的な先例になりそうです。今後に36協定を結ぶ病院で、120時間とか200時間とか300時間の36協定を病院側が提示し、これを医師側が渋ったら『滋賀では医師が自ら受け入れたのに拒否した』としてマスコミにリークし『患者のことを考えない、冷血でワガママな医者たち』のバッシング・キャンペインをいつでも行なう事が出来ます」と批判し、超・長時間残業が病院以外にも広がっていく恐れを指摘しています。

 このブログのコメント欄には滋賀の関係者も登場して「特別協定 120時間x6か月 36協定 45時間x6か月」だったことも明かしていますが、集まっている医師らはそれすら守られるのか、懐疑的です。結局「720時間+270時間=990時間の年間協定」が前例になる恐れは確かに大でしょう。