衆院序盤情勢調査で民主300、自民100の衝撃 [BM時評]

 朝日新聞、読売新聞、日経新聞と立て続けに衆院選序盤情勢調査を報じました。最初に出した朝日が「民主300議席の勢い」だったのに、読売は「民主300議席超す勢い」、日経は「民主、圧勝の勢い 300議席超が当選圏」にとエスカレートした感じです。民主を表とすれば自民は裏になり、表が取った分だけ裏の議席は激減することになります。もし民主が300議席を軽く超す大勝なら自民は100議席を切りかねない予測になります。ただし、普通の選挙情勢調査は投票日の1週間前ですから今週末にはもう一度、中盤の情勢調査があるはずです。そちらが本番の調査という前提で見てください。

 ブログの反応を見ていて「懲罰としての総選挙」(Not Available)に、前回総選挙からこれまでの流れを見つめてきた、普通の有権者の感覚を見ました。

 「民意は自民党を罰することを望んでいる。その結果として行き先が民主党になっているだけだ」「2005年に我々は日本がかつてなかった日本に変わるのではないか、と期待してちょちょっと自民党によろめいて爆勝させてしまった。しかし4年経った今、事態は何ひとつ改善されていない。小泉純一郎という稀代の山師(前にも使ったような気がする)に騙されたのだ。ふざけるな。自民党に天罰を下さねばならぬ」

 4年前、2005年の夏には世間の雰囲気はどんな感じだったのでしょうか。自民党が掲げたキャッチフレーズ「郵政改革が本丸」「公務員を守る反対派と民主党」に対して、民主党は「日本をあきらめない」「もっと大事なことがある」です。民主党は何が言いたいのか弱々しく判然としないのに、自民党は郵政民営化こそ国政改革への橋頭堡だとして明確でした。自民党有力幹部は「歳入が40兆円しかないのに支出が80兆円もある。こんな事で国が持つ訳が無い。80兆のうち40兆は公務員の給料。それを削るには公務員を減らすしかない。だから経営が優良な郵政からやる。これが出来なきゃ公務員なんか減らせるわけ無い」と叫んでいました。

 4年前に言われた改革の目処は立ったのか、いや、その筋道でも見えたのか、問われて首肯する有権者がどれだけいるか、極めて少ないはずです。いや、それどころか、公務員制度改革について、攻守の有り様が完全に入れ替わっています。この間、民主党の公務員天下り廃止を始めとした一連の政策提言に対して、麻生首相は「公務員いじめ」と決めつけ、はねつけました。

 「Japan Blogs Net《政治・経済》」でウオッチしている「かみぽこぽこ。」の《やっと総選挙(3)「公認権」「人事権」「解散権」の稚拙な行使(前編)》が「いまから思えば、この公務員改革への対応が、麻生内閣最大の失敗だったといえるんじゃないだろうか」「なぜなら、その結果『かみぽこ政治学』で何度も指摘してきた自民党の『野党の政策をいつのまにか自分のものにする』というしたたかさが、失われてしまうことになったからだ」と指摘しています。