本当にタブレット型PCの年になった [BM時評]

 昨年から騒がれつつあったアップルのタブレット型パソコンが本当に発売されるようです。「アップル、タブレット型端末を3月以降に出荷へ」(The Wall Street Journal日本版)が報じられました。「新しいタブレット型デバイスは10〜11インチのタッチスクリーンを搭載」「動画やテレビ番組の視聴、ゲームやインターネット、電子書籍や新聞の閲覧などが可能なマルチメディア型デバイスとなる見込み」とあり、「Appleタブレットは3月1000ドルで発売!?」には予想イラストまで掲載されています。まさに特大のiPhoneです。

 ブログでは「タブレットの年になる」(MIZの日記)が「おととしの年末あたりから既に胎動はあった」「携帯性を追求したeeePCなどのネットブック。amazon発の電子ブックリーダー、Kindle。そして言わずもがなな、iPhone。今年はその流れが1つにまとまる年かもしれない」と指摘しています。入力はあまりしないで専ら閲覧する使い方でしょう。

 値段がちょっと高めの気がするかも知れませんが、《「iPhone 3G S」の価格や解約時の費用が気になってなかなか購入できない人のためのまとめ》(らばQ)によればiPhoneだって2年間で7〜9万円は覚悟しなければならないそうですから同じような価格です。

 画面の解像度情報はまだですが、現在のノートパソコン程度はあると考えてよいでしょう。新聞の閲覧は可能です。少なくともiPhoneで産経新聞紙面を見るよりは遙かに快適に読めるはずです。国内のマスメディアも、新聞はもちろんテレビも出版社もこの事態に早急に対処するべきです。無線LAN接続で使う大型タブレットPCで新聞を読む、読書をする、映像ソフトを楽しむ生活スタイルが大きなシェアを占めるのは確実だと思います。

 【関連】注目したい『アップルの30年ロードマップ』

 《1/10追補》GIGAZINEがその後の情報Appleの新型タブレットPC「iSlate(仮)」について現時点でわかっていることまとめを出しています。

 《1/12追補》その後、各社が似たような端末を次から次へと発表しました。ITmediaが「HP、Dell、Motorolaも乗り出す――『タブレット革命』は始まるか?」でまとめてくれています。「Thomas Weisel Partnersのアナリスト、ダグ・レイド氏は、タブレットマシン市場はAppleにけん引され、2010年は35億〜53億ドル規模、2014年には300億ドル規模に拡大すると見積もっている」

 マルチメディア対応の「タブレット」あるいは「スレート」マシンばかりでなく電子書籍リーダーとして注目のキンドルに「キンドルDX」が発表されました。これがタブレットと似た大きさです。キンドルのオリジナルは日本語に使うには小さすぎると思ってきたので、これも大いに注目です。池田信夫ブログは「キンドルDX」で「これはもしかすると、絶滅危惧種の活字メディアを救うかもしれない。それなのに、日本ではハードウェアもコンテンツも入手できない」と嘆いています。

 ソニーは「Sony Reader」でキンドルを追いかけているとは言え、一連の新しい動きから国内メーカーは取り残された印象です。経営者がますます近視眼的になり、新しい分野に打って出ることが出来なくなっていますね。タブレット端末は以前には失敗しましたが、現在の技術をもってすれば魅力的な商品にすることは十分に可能です。マシンだけでなくコンテンツの整備、無線LAN環境が進んできているからです。新聞を読む、読書をする、映像ソフトを楽しむ端末になりうるのでマスメディアにも大きな影響を与えるでしょう。