タバコ追放、厚労相が周回遅れ全面禁煙通知へ [BM時評]

 朝日新聞が伝えた「『公共の場は全面禁煙』 厚労相、2月中に全国通知へ」によると「飲食店など多くの人が利用する施設は、全面禁煙にするよう求める」「罰則はないが、喫煙区域を設ける『分煙』では不十分との考え方をはっきり示し、全面禁煙化を促す」「厚労省は、飲食店を含めたすべての職場について、受動喫煙防止を義務づける労働安全衛生法の改正を検討している」というのですが、世界の動向からみると周回遅れの観があります。

 英国政府が2月1日に発表した方針をロイターが「英国の禁煙法、建物の入り口にも適用を検討=政府」として報じています。「若者を中心に、人口の21%を占める喫煙者の割合を10%まで減らすことを目指している」「英国の喫煙者数は、広告規制などの政策が実施されてきた過去10年間で、4分の3に減少」といいますから、さらに徹底して受動喫煙を減らし、喫煙者を公衆の目から隔離するのでしょう。

 もっと進んだ完全禁煙国を目指す動きが「メディアサボール」の「世界初!『たばこ撲滅の国』を目指すフィンランド」に最近出ました。6月、フィンランド国会に新しい反喫煙法が掛けられるのだそうです。「この法案が採択された暁には、大小全ての販売店の軒先からたばこの陳列が無くなる。消費者は店員に、自ら希望のたばこの銘柄を指定し、購入することはできるが、日常的にたばこやたばこ関連商品が国民の目にさらされることが無くなる」

 世界各国の喫煙率がどうなっているのか、あまり新しいデータがありませんが、各国成人喫煙率(WHO:Tobacco Atlas 2002)はフィンランドについて男性27%、女性20%、英国は男性27%、女性26%、そして米国は男性25.7%、女性21.5%としています。同じ統計で日本は男性52.8%、女性13.4%です。国内データでは国民栄養調査結果(2008年)が最新で、男性36.8%、女性9.1%です。各国がこの数年で喫煙率をかなり減らしていることを考えると、4割近い男性喫煙率は異例に高いと言えます。

 2002年統計では途上国、中進国を見ても男性喫煙率が日本より高い国は数少ないのです。今年のタバコ値上げも中途半端なものになりそうですし、民主党政権のタバコ政策は腰が据わっているとは言い難いと思います。