郵政改革見直しは現政権の性格決める指標に [BM時評]

 郵政改革をめぐる政策の見直しが、民主党を中心にした現在の3党連立政権が何者であるか、政権の性格を決めることになりそうです。亀井静香郵政・金融担当相と原口一博総務相が24日に発表した郵政改革法案の骨子には、郵便貯金の預入限度額の1千万円から2千万円への引き上げなど、改革を根底から覆す項目があり、仙谷由人国家戦略相らから異論が噴出しています。小泉郵政改革は不徹底ではあったけれど、巨額な郵便貯金の管理から国が手を引いて民間に任せ、歪んだ金融の有り様を正常化する方向だけは示していました。

 ロイターの「緊急閣僚懇で郵政問題を議論へ、預入限度額など焦点」は「民業圧迫の批判がある郵貯の預入限度額の引き上げなどの扱いが焦点となるが、法案骨子を発表した亀井静香郵政・金融担当相は26日の会見で、限度額などを修正する考えはないことをあらためて表明しており、閣内調整は難航しそうだ」と伝えます。むしろ「閣僚懇において成長戦略や中期財政フレームとの関わりを含めて郵政問題を議論するための緊急閣僚懇談会の開催を鳩山由紀夫首相が指示した」の方が問題で、成長戦略や中期財政フレームで、政権内の議論がこれまでされていなかった不思議さがあります。

 「担当閣僚が決めたからそれが最終案」と言い放つ亀井郵政・金融担当相の非常識さにブレーキが掛けられないようなら、鳩山由起夫首相のリーダーシップは大きく傷つきます。「Japan Blogs Net」を巡回してみると、弁護士で前自民党衆院議員「フェニックス早川忠孝の一念発起・日々新たなり」の「今になって官営事業を推進する愚」がばっさり斬っていました。「亀井さんは思い込みが強い人なので、説得不可能な部類に属する。この人と政策協議を続けると、残るのは徒労感である」「いかにもやり手、仕事師、豪腕のような印象が残るが、要するに人の言うことが耳に入らないだけ。この人は始末に終えない」「亀井さんは早く切った方がいい」

 「極東ブログ」の「郵政改革法案を聞いて、これが民主党なんだろうかと思った」もこれまでの経緯、過去の民主党による郵政改革案を提示して疑問を投げかけています。「今や民主党が、小泉改革の反対勢力の旗頭であった亀井氏のもとに、もっとも古い自民党に変質してしまった。天下りを禁止すると以前は言っていたのに、今では天下りの典型を長に就けている」「とはいえ、民主党内にも数年前の民主党の政策を忘れてしまえる原口総務相のような人ばかりでもないようだ。忘却力に優れている鳩山首相も、なんだかこれは変だなと思っているふうでもある」

 かなりの時間をかけてでも、郵政の金融部門は安楽死させてしまうのが正しい方向だと思います。全国サービス維持を課している郵便事業が赤字だというなら、それを公共として補う別の仕組みを設けるべきです。金融部門の儲けを増やして郵便事業を補うのでは、完全に昔の郵政事業体に戻ることになります。成長戦略や財政運営とからめて議論するのは、性格が不透明に成りつつある鳩山政権にとって大きな意義があります。