第204回「ここまで戦略性無しで首相を続けるのは無理」

 鳩山由紀夫首相が沖縄・普天間基地問題で、自ら設定した「5月末決着」を辺野古周辺移設の閣議決定としたため、受け入れぬ福島瑞穂・消費者担当相を罷免してしまいました。関係する地元から全く了解を得ていない『実現不可能案』に拘泥し、3党連立政権の枠組みを壊してもよいと突っ走った暴走です。与党民主党内にもきちんと根回ししていないと伝えられています。首相就任から8カ月、この困難な問題の解決に積極的に動いた形跡がありません。もともと無理と分かっているから寝かせているのかと見ていたら、土壇場になって日米合意だけ取り付け、自分が言っていた「辺野古はだめ」になおこだわる福島さんを切ってしまうとは、戦略性のかけらも無かったのですね。いやはや。

 節目の時ですからJapan Blogs Netで関係エントリーを集めてみましょう。

 「早川忠孝の一念発起・日々新たなり」の「すんでのところで踏みとどまった社民党にとりあえずエールを送る」は「福島氏や社民党は、権力に対する批判者に徹するのがいい。少数者、社会的弱者の味方として、権力に阿ることなく、あくまで正論を主張し続けることが、結果的に日本の議会制民主主義の健全な発展に貢献することになる」と喝采です。

 「大石英司の代替空港」の「第二の敗戦」は「21時からの総理の記者会見は生で見ました。第二の敗戦だなぁ、と思いましたね。それも戦わずして破れ、屈した」「電信柱の陰で高邁な理想を説いていた男が、ジャイアンが現れて、一言『ゴルウァ!』と怒鳴った途端に青ざめ、パニックに陥り土下座して全てを投げ出した」「メディアが必要以上に期待した部分があって、しかも私を含めてメディアの内外にいる人々は、解決は可能だと思っていた。海兵隊撤退は無理でも移転は可能だと思っていた。にもかかわらず、命懸けだなんだと言いながら、まともな交渉を行った形跡は一切無い。アメリカ相手にも、引っ越し先として名前が挙がった自治体にも。そういう不作為があまりに酷かったことを怒っているんですよね」と手厳しい指摘です。

 「『永田町時評』NewsSUN」の「> 波紋が広がる『福島罷免』(No980)」は「民主党も『福島罷免』を最悪の事態と捉え、党内には首相の責任を問う声が聞こえる。鳩山政権は最大の危機を迎えているのかも知れない。ただ期日がないため現状のままで参院選に突入することになりそうだ。各党とも参院選の戦略練り直しを迫られるだろう。鳩山首相の支持はさらに低下する可能性が大きい」と観ます。

 沖縄現地「辺野古浜通信」の「これからの行動…&鳩山、前原、岡田、北原への抗議先です。」は「あれだけ鳩山を追い込んだ取り巻きや民主党の閣僚、官僚が、沖縄の民の平和など考えるでしょうか?また、マスコミがこれまで行ってきた数多くの情報操作のことを忘れてはなりません」「自衛隊も、海上保安庁も、これまで以上の暴力的に植民地沖縄を支配することを目指し、反対する市民を蹴散らすことでしょう」「私たちは、稲嶺進名護市長を支えながら、非暴力の直接阻止を行います」と身構えています。

 鳩山首相は記者会見で「なぜ5月末を期限にしたのか」と問われて「あまり延ばすことは不誠実に映る。参院選前までに決着がつかなければ、最大のイシュー(争点)になる可能性がある。さらに、(11月の沖縄県)知事選の前に申し上げておくことが責務ではないか」と答えています。5月末で関係者全員が了解できる案が出来ると考えた人はいなかったはずです。参院選でも知事選でも、今回の辺野古周辺移設案が出ていない状況では争点にはなれなかったでしょう。これで参院選を戦うのですか。