第213回「中国との国際結婚は嫁日照りから次の段階へ」

 「社会実情データ図録」が「図録▽在日外国人の人口ピラミッド」で中国人やフィリピン人などの在日人口構成をグラフ化しています。「東アジアの国際結婚」に関心を持ってきたので、両者のピラミッドが余りに違っていた点を見て直感しました――中国との国際結婚は、アジアで続いていた「嫁日照り」対策結婚から次の段階へ移行したと。

 仮説を立てたので「平成20年 人口動態統計(確定数)の概況」などを参照して、「夫日本・妻外国」の結婚件数がどう推移したか調べました。  中国人を妻とする結婚のピークは2001年の13936件でした。90年代から先行していたフィリピン人妻との結婚件数を追い抜いてしまいます。2006年に滋賀県で中国籍の妻が近所の幼稚園児2人を刺殺する事件がありましたが、言葉や心のケアが案じられた結婚はこの前後でした。フィリピン人妻との結婚件数は2005年にかけて再び増え、2006年には12150件と中国を抜きます。しかし、2008年には7290件と急速に落ち込み、韓国・朝鮮やタイも同じ減少傾向です。一方、中国人妻との結婚だけは落ち込む気配がありません。

 中国商務部が認可した日系企業の累積件数は「中国進出日系外資企業の挫折率」によると、2002年頃からかなり増えるのですが、挫折も多くなります。ビジネス実務による人の往来が急増していく中で、普通の出会いによる普通の結婚が主流になってきているのでしょう。

 ブログでも普通の日中カップルがどう生活しているか、読むことが出来ます。「嫁さんは中国人」は中国での職場結婚から、昨年秋に日本に呼び寄せた例です。「来日から2ヶ月」にはこんなやり取りがあります。「もうすぐ嫁さんのアルバイトの初任給がもらえます」「嫁さんもバイトとはいえ、中国から比べると超高給取りです」「嫁:『中国でこれくらいもらえればいいのにね〜』」「onisa:『とりあえずその給料で地デジの液晶テレビ買おう』」「嫁:『ダメ! これは(運転)免許のために貯金!』」。家事も分担してこなしているそうです。

 最初に紹介した人口ピラミッドでも女性側が膨らんでいるのは仕方がないことで、まだ日本女性で中国に出て行って仕事をする人の数は知れているでしょう。「夫中国・妻日本」の結婚ケースは毎年1000件余りを続けています。なお、「夫日本・妻中国」の離婚件数は2006年4728件、2007年5020件、2008年5338件と増えていて、こちらはフィリピン人妻と歩調を合わせています。