第233回「30代の『家離れせず・出来ず』は相当に深刻」

 国立社会保障・人口問題研究所の世帯動態調査で30代の『家離れせず・出来ず』が相当に深刻な状況にあると判明しました。「30代前半の男性、半数が親と同居…不況背景?晩婚化も」(朝日新聞)や「未婚・不景気…30歳代後半男性4割が親と同居」(読売新聞)と報じられています。

 5歳階級別に5年ごとに実施されている調査ですから、第152回「20代男性の3人に1人は生涯未婚の恐れ」 で開発した「5歳年上世代の行動をなぞる」考え方を採用して、5年先の2014年も予測しましょう。1999年から2014年までまとめた一覧が以下の表です。  35-39歳の2014年「44.1%」は、30-34歳の2009年「47.9%」が5年後に3.8ポイント減ると予測して出されています。5歳年上世代が「45.4→41.6」と変化しているからです。男性の30代は前半が48%、後半も44%が親と同居を続ける結果ですから、従来の常識からは意外感ありです。未婚割合のデータも採られているので並べています。35-39歳で10年間に10ポイントも未婚が増えていて、その分がそっくり同居の増加になっています。女性も2014年には30代前半が同居40%に乗ってくるのですね。10年前のことを考えると大きな様変わりです。こちらも未婚割合の増加が効いています。女性の場合は男性以上に非正規雇用の割合が大きい点も見逃せないでしょう。

 国立社会保障・人口問題研究所のコメントは「未婚・晩婚が増えているほか、景気の低迷で親からの自立が経済的に厳しくなっている」です。パラサイト・シングルという言葉があります。「ちゃっかり依存」のイメージですが、結婚というきっかけも少なくなり、独立したくても出来ない感じの方が強まっているようです。こうなると40代ではどうなのか興味があります。なお、調査票の回収率が単身世帯では低くなりがちなので、親と同居が強めに出ている可能性があるとされています。