1週間後『地デジ難民』必至でも移行は強行 [BM時評]

 震災被害の東北3県を除いて、24日にはアナログ放送停止・地上デジタル放送移行が強行されるようです。1週間前になってマスメディアは、テレビ放送が見られなくなる『地デジ難民』発生必至を伝えています。それも半端な数ではなく、数十万世帯、あるいはそれ以上にもなる恐れが大です。放送法でNHKが受信料を強制している体制下では双務的に受信できるようにする義務が発生し、これは認められない事態のはずですが……。

 総務省がしてきた移行状況調査はサンプルの取り方、数の少なさ、80歳以上の高齢者が含まれていないなど対象範囲に難があり、移行の進み具合は過大評価になっていると、専門家から批判されてきました。その前提に立っても《地デジ移行後も支援継続=視聴者の混乱抑制−総務省など》(時事ドットコム)は総務省によると「アンテナなどの受信設備が地デジに対応していないのは6月末で29万世帯。このほか、受信機をまだ買い替えていない層もいる。片山善博総務相は『当日までに(対応率が)100%になるとはなかなか言えない』と述べ、取り残される視聴者が出るのは避けられないとの見通しを示している」と報じています。

 読売新聞の《「地デジ難民」現実化?アンテナ1か月待ちも》は「総務省などは高齢者宅への戸別訪問など周知作戦を展開するが、家電量販店や役所などの臨時相談コーナーは長蛇の列ができている」「対応テレビやアンテナ工事の注文が1か月待ちのところも」と伝えます。

 毎日新聞徳島版の《地上デジタル放送:「地デジ難民」発生懸念 県内5800世帯が未対応 /徳島》はもっと具体的でこうです。山あいに位置する「『町内の約15%の世帯がまだ未対応。完全移行に間に合うか分からない』。小松島市櫛渕町。約320世帯ある町内で、テレビやアンテナの設置工事を引き受けるオク電機商会社長の越久辰一さん(70)は心配する」

 アンテナ設置が間に合わない世帯には「地上デジ放送移行巡るドタバタ、一段と混迷増す」で書いた「暫定的に衛星放送を利用して地デジ放送」という裏技まで使われているのですが、お年寄りに判ってもらうのは大変です。移行問題についての情報弱者は国が思っている以上に存在している可能性があります。