離婚率が特異な減少、震災で家庭防衛意識か [BM時評]

 元日に公表された「平成23年(2011)人口動態統計の年間推計」で、離婚率が2011年に従来の動きから外れて特異な減少を見せました。東日本大震災と福島原発事故に直面して、家庭防衛を強く意識した結果ではないかと見られます。また、震災後には結婚を考える人が増え婚活サイトが活況との報道がありましたが、婚姻率はわずかに下がり目立った変動にはなりませんでした。  離婚件数は2006年から年間25万組台を保ってきましたが、2011年は23万5000組と推計されました。離婚率は人口千人当たりで表され、「2」前後を維持していたのに一気に「1.86」まで下がる結果になりました。過去に遡ると20世紀末へ急降下した形であり、1997年の「1.78」、1998年の「1.94」の間に入る水準です。2002年に「2.30」のピークを記録した後、減少に転じたものの、上のグラフに見られるように下げ止まった状態でした。

 数年前には厚生年金分割制度スタートで熟年離婚が増えるのではないかとも言われていました。しかし、2009年に書いた「続・離婚減少は定着、熟年離婚の嵐吹かず」で分析した通り、2003年からの経済状況好転にシンクロして離婚率減少傾向が現れていたのです。その後、リーマンショックで不況に入り失業率が2009、2010年に5.1%まで上がりましたが、離婚率は特に増えることもなく横這いを維持しました。2011年はそこから目立って離婚が減っているのですから、経済的な要因よりも心理的な側面が強いと考えられます。