野田首相は大局観を欠いた政治的ボンクラ [BM時評]

 民主党大惨敗が間違いない総選挙に野田佳彦首相が打って出ます。第三極の選挙準備が整う前に、と考えたのなら大きな間違いです。この時期の総選挙は民主党に利するところはなく、自公連立政権の閉塞復活につながるだけです。野田首相が環太平洋経済連携協定(TPP)を争点にしようと言い出すなど、民主党の政治家は皆さん、自己の妄想の中にお住まいとしか見えません。しかし、本格的政権交代で踏み出された大きな政治の流れを大切にするだけの大局観は持っていなければなりません。解散時期嘘つき批判に悩み、野田下ろしを見る前に自ら解散を決めるしかなかったボンクラを、9月の代表選挙で再選した民主党は何もかも捨てることになりました。あの時、交替させるしかなかったのです。

 衆議院選挙は12月4日公示、16日投票と決められました。日経新聞が伝える岡田克也副総理の談話は愉快なほど、事の本質を隠しています。「見事なリーダーとしての決断だ」「来年度予算編成が本格化するまでに選挙するのが国益だという判断があったと思う。我が党にとって決して有利な状況ではないが、そういったことを乗り越えて信を問うということだと思う」

 実態は党内の解散反対噴出でリーダー失格に陥り、民主党政権最後の予算編成で政権の意義を訴えるチャンスも無くします。しかも、信を問う内容が次のようにTPPだとするなら、これまでの3年は何だったのかとなります。

 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版10日付の「野田首相、12月にも衆院選を検討=複数の首相側近」は《首相はTPP交渉参加を争点にすることで最大野党の自民党より多くの票を得ることを狙っている。自民党は、日本がTPPに加われば海外から安い農産物が押し寄せるのではないかと懸念する農家の反対意見に配慮してTPPには慎重だからだ。「次の選挙はTPPで勝負する。自民党はTPP支持とは言えないから、違いを出せる」と総理に近い与党議員の一人は述べた》と報じました。国民に広く訴えるほどTPPの中身を政権として議論してきたとは言えません。

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