骨太方針の寝言、人口減対策は男性正規雇用拡大を [BM時評]

 「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」の原案が明らかになり、人口減対策に本格的に取り組むと伝えられます。女性の育児・出産対策が柱とは相変わらずの寝言です。統計が示す有効策は男性の正規雇用拡大です。安倍内閣お得意の雇用の流動化はこれに逆行します。15〜34歳男性の有配偶率は、正規雇用が40.3%あるのに、非正規雇用は11.1%に過ぎません。出産の前提になる結婚そのものを増やさなくて何が人口減対策でしょうか。  『結婚離れは非正規雇用増の結論避ける厚生労働白書』で取り上げた厚生労働白書のグラフ「年齢別・雇用形態別にみた男性の有配偶率の比較」を掲げました。非正規雇用の男性にはこれだけ歴然とした結婚のしにくさ、あるいは結婚に手が届かない収入の低さ・不安定さがあるのです。

 一方、読売新聞の《人口減克服、次の最大のハードル…骨太方針原案》はこう報じます。《デフレ脱却と経済再生の次に乗り越えなければならない最大のハードルとして「人口減問題の克服」を位置付けた。50年後も1億人の人口を保つため、抜本的な少子化対策を進め、人口減と低成長の悪循環を断ち切る必要があると強調した》《女性が育児をしやすい環境を整えるため、社会保障や税制など、あらゆる分野で制度を見直す》

 生涯未婚率予測を昨年の第368回「生涯未婚率は男35%、女27%にも:少子化対策無力」で示し、非常の多くの方に参照されています。5年ごと国勢調査の結果をもとに予測する手法であり、調査のたびに生涯未婚率が上がっています。結婚観や恋愛観などが変わった要因もあるでしょうが、近年の非正規雇用の拡大がベースになっていると考えざるを得ません。もし正規雇用へ戻すことが難しいならば、「同一労働・同一賃金」の原則に従って非正規雇用収入の底上げを目指すべきです。