第465回「中国大気汚染は北京より地方省都がずっと深刻」

 重篤スモッグで世界から注目される北京よりも、地方の省都の方がPM2.5による被害がずっと深刻であると判明しました。北京大の調査で10万人当たりの死者数が百人を超える10市に比べ北京は79人に留まりました。2013年時点で河北省の石家庄134人、山東省の済南128人、湖南省の長沙124人など北京の西や南、さらに内陸部の方が大気汚染はひどいと示しています。新華社が伝えたランク表から22位の北京まで上位部分を以下に引用します。  《中国初のPM2.5による死者データ発表、石家庄や済南は最も深刻》は全国31の省都・直轄市でPM2.5による死者は人口10万人当たり90人と報じました。喫煙による死者は70人、交通事故による死者は9人に過ぎませんから、健康へのリスクは非常に大きくなっていると言えます。北京の場合はこの平均値よりずっと低いのです。上海も20位ですから北京とほぼ同列です。

 昨年10月の報道で、北京のPM2.5飛来元は地方からが通年で28〜36%ながら深刻な汚染時には50%以上にのぼると北京市環保局の見解が伝えられました。昨年の「APECブルー」実現に河北省などの工場操業停止が必要だったわけです。北京市を政治、文化、国際交流、科学技術革新の中心にし、これに合わない汚染企業300社を操業停止と撤退にする方針が打ち出されましたが、安定した青空を取り戻すには全国的な改善が不可欠と見られます。

 昨年3月の第412回「中国重篤スモッグの巨大さが分かる衛星写真」でそれぞれ900キロずつ離れた北京、西安、南京3都市を覆い尽くす巨大スモッグを載せました。今回のランク上位の都市は多くがこの3都市三角形に含まれています。