第682回「真実隠蔽の意図濃く奇怪な中国各種統計の闇」

 (続編第683回「急速高齢化の脅威に、中国指導部は無策傍観」)
 中国政府発表統計の真実隠蔽ぶりが極まってきた観があります。2020中国国勢調査での年齢別人口がようやく入手でき、2010調査と比較できました。2021年5月の第647回「中国国勢調査がまたも捏造、若年層大水増し」では「政府が胸を張る若年層の増加は過去の中国統計年鑑の数字から水増し」と指摘しましたから、実態を知らねばなりません。中国国内のネット民からも政府発表に疑問の声が噴出したためか、細かな年齢別人口構成は長く表に出ませんでした。百度検索で繰り返しウオッチしていると同じ年齢別人口構成の数字があちこちで使われ始めていました。2023年9月ごろに発表されたらしいのですが、ソースは記載されずに既成事実となっています。以下に2010と2020の比較グラフを掲げますが、国統計の根幹になる国勢調査すら信頼できないと自白しているようなものです。  10年ごとの国勢調査ですから5歳刻みの年齢別人口は次の調査で10歳上にシフトします。同じグループを比べられるようにグラフを作成すると、25歳以上世代では10年後に順当に人口が減っています。ところが、未成年世代では10年後に何と人口が増えています。最も顕著な世代は2010年に0-4歳で7553万人だったのに、2020年には10-14歳になって8525万人に増えました。972万人、12.8%の増加で、「調査の誤差」と弁解するのは到底不可能です。人民日報が《子供たちの割合は回復し、出産政策の調整は前向きな結果を達成しました》と胸を張るために捏造したと断じるしかありません。

 グラフの0-4歳と5-9歳で2010年に相当する部分は国家統計局発表の年次出生数を合計した数字です。2021年の発表当時は2010年調査に影響しないように10歳未満世代で捏造が行われたと考えられていました。しかし、15-19歳の世代でも180万人の増加があり、「誤差」ではあり得ません。5-9歳の803万人と0-4歳の91万人増加は年次出生数の過去に遡る見直しでごまかせる可能性はありますが、少なくとも1100万人を超える若年人口増加捏造は隠しようがありません。

 中国政府発表統計の信頼性には前々から疑問が持たれていました。NHKの11/17付《“経済失速”が叫ばれる中国 相次ぐデータ公表停止の謎》が真剣に検証する姿勢を見せ始めたのは歓迎です。きっかけは下にグラフを引用している、国家統計局が8月になって突然、16-24歳の失業率発表を中止した異常事態です。新規大卒者が毎年1000万人を超える時代に入り、内外が注目の統計でした。  8月の第677回「中国経済大変調で政府動かずも意図的濃厚」で紹介しているように2割ある公式の失業率に《「寝そべり族」「親のすねかじり族」など1600万人を失業者として加えれば、3月の中国の実質的な若年失業率は46.5%にもなる》と北京大准教授が推計して世界的な話題になりました。都合が悪い数字は捏造する、捏造出来ない数字は発表を中止する――これがまかり通るのが今の中国です。

 国家統計局発表の5年以上継続の年次データでNHK取材班が発表の消長を調べると、2008年に84178件が発表されたのを最高に急速に減っていきます。

 《2010年に日本を抜いてGDPが世界第2位になった中国だが、むしろその頃を境に、なぜか統計データの公表数が少なくなっているのだ。特に、習近平氏が国家主席に就任した2013年は、データの公表件数が前年に比べて1万件以上も減少。すでに多くのデータが出そろっていると思われる2021年分についても、その数は最多だった2008年に比べ4割以上減っていた》

 中国のGDP成長率は屋台骨だった不動産業界の大失速、消費動向や製造業も含めた経済大変調にもかかわらず、年間5%台もあることになっています。IMFなど国際機関は中国政府が言う「額面」を否定できずにいます。

 11/14付《中国「GDP成長率予測5.4%」は本当か…?「景気刺激策が奏功」報道が“眉唾もの”と言えるこれだけの理由》は中国側のデータを示して真っ向から強烈な疑問を呈します。

 《矛盾する統計がある。中国財政部に掲載された、今年の1-9月の税収だ。これがほぼ軒並み減収となっているのだ》《「企業所得税」は日本の法人税に相当するが、これも前年同期比で7.4%の減少となった。個人所得税も0.4%の減少となった。輸入貨物の増値税と消費税は、前年同期比で7.3%のマイナスで、関税は12.1%のマイナスだ。こんなことが、5%程度の高い経済成長をしている国でどうやって起こるのだろうか》《中国経済の実態は、中国政府の発表とは全く違っていて、実際にはマイナス成長に陥っているということを、きちんと指摘すべきではないか》

 中国が国際的に提供しているデータにも隠蔽・捏造の疑惑があります。読売新聞12/8付《中国のCO2濃度、公表の1・5〜3倍で増加…環境省が観測衛星で分析しCOP28で発表へ》がこう伝えています。

 《日本の温室効果ガス観測衛星「いぶき」が、中国の約7万7000地点で、2009〜22年のCO2濃度の年間増加量を観測したところ、0・6〜1・2ppm(1ppmは1万分の1%)だった。これに対し、各国が公表する化石燃料使用量や発電所数などの情報に基づいた国際的なデータベースによると、中国のCO2濃度の年間増加量は0・2〜0・8ppmで、衛星観測の値が約1・5〜3倍に上った。一方、日本と米国についても同様の条件で調べたが、衛星観測とデータベースの数値に食い違いはなかった》

 二酸化炭素排出量が日本の10倍あって断然世界一の中国が、排出データを大きくゴマ化しているとすれば国連気候変動枠組み条約での国際協議は有名無実でしかありません。

 【12/24追補】
 当ウェブには中国からのアクセスも多数あります。最初に掲げた「中国の2010・2020国勢調査年齢別人口比較」グラフの元になった人口データを参考までに掲げておきます。