第685回「中国GDP、過去値を勝手に下げて高成長偽装」

 中国の国内総生産(GDP)成長率発表が信頼できないとは前々から言われてきました。日経新聞の16日付《中国、1-3月GDP5.3%増 生産・投資堅調で景気下支え》にある「5.3%増」が発表されると、不動産バブル崩壊で経済ボロボロの中国での、あり得ない高さに疑問の声噴出でした。20日付のユーチューブ《石平の中国週刊ニュース解説・4月20日号》が中国国家統計局の統計操作実態を指摘していました。過去のGDP値を勝手に下げて今が高成長だと偽装してしまうのです。国家統計局のウェブページを閲覧すると2024年の第一四半期GDP「296299億元で5.3%成長」、これに対して2023年の第一四半期GDPは「284997億元」ですから、計算するとはるかに低い「3.9%成長」でしかありません。同様に国家統計局ウェブの対応する数字で計算すると2023年のGDP成長率は「4.6%」であり、李強首相が発表した「5.2%」は高成長偽装です。

 過去の数値を下げて成長率を計算したなら、ウェブで過去発表の数値を下げると思いきや、そのままにしてあります。まず「2023年の第一四半期GDP」です。  対応する「2024年の第一四半期GDP」が以下です。  「296299 ÷ 284997」は「1.03965」、5.3%などとんでもなく、3.9%増加です。



 通年のGDPでも同じかと考えて収集したスクリーンショット「2022年のGDP」  そして「2023年のGDP」が以下です。いずれもURLまでコピーして太字で貼り付けていますから間違い無さ保証付きです。  そして「1260582 ÷ 1204724」は「1.04636」です。2023年通年で4.6%成長です。公式発表の「5.2%」とは遠いですし、米国の分析機関には「実態は1.5%成長がせいぜい」とする見方があります。

 昨年、GDP発表問題を追っている際に、地方の省政府が「前年の省GDPは誤っていた。数値を正すとこんなに成長した」と説明する文書を見ました。その場合でも前年の省GDPの公式数字は訂正されないようでした。省政府の官僚にとって自分の業績が問題であり、前任者がしたことはどうでもよい対応なのだろうと思っていましたが、国家レベルで偽装のし放題だった訳です。そして、国家レベルで偽装の跡を消す気も全くないのです。これでは中国政府の言うことは信じられません。

 【ご参照ください】第682回「真実隠蔽の意図濃く奇怪な中国各種統計の闇」

 【4/22追補】Facebookでの説明用にスクリーンショット画像を切り取って並べました。お使いになりたい方は、引用元を明示してお使いください。