第701回「中国は大量失業から飢餓、借金大膨張破綻へ」

 
 中国政府は2026年第1四半期もGDPが年率5%成長と発表しています。しかし、「中国経済は明るい」と言い続けても誰も信じなくなっています。悲惨な実情を示す巨大な数字が積み上がってきました――実質的に失業状態にある非正規「柔軟」労働者が3億2000万人▼ホームレスが4750万人にも増えて若者が大半▼マンション価格半値下落でローン返済延滞が1億人▼企業、家計、政府が持つ債務残高がGDPの3倍8900兆円に増加――これに加えて65歳以上が2億2000万人まで増えたのに年金・介護など高齢化対策は極めて貧弱です。

 この現実に対して中国政府は「AIによる雇用創出効果を強化」など、本来が省人効果のAIに的外れ集中政策を打ち出しており、現時点で職が無くて飢えている国民を無視しています。雇用を最も作り出しているのは民間企業なのに、国有企業優先は不変です。雇用を作っていた外資企業も国家安全法制で圧迫され、中国から撤退加速一方です。

 【隠れ失業者が3億2000万人】

 6月18日付の《35歳を過ぎたらデリバリーの配達員しか仕事がない…3億人を突破した中国「フレキシブルワーカー」の悲哀》はこう伝えています。

 《中国新就業形態研究センター(首都経済貿易大学と中国就業促進会が共同で設立)は最近の報告書で、「中国のフレキシブルワーカーの総数は昨年の2億8000万人から増加し、今年中に3億2000万人に達する」との予測を示した。3.2億人という数字は昨年末時点の就業者総数(約7億2000万人)の約44%に相当する高さだ。昨年からの増加数(約4000万人)の大きさにも驚きだ》

 中国の雇用統計は一定期間に1時間でも仕事をした人を失業者から外すなどして、極力、失業率を下げます。失業後に転じた人が大多数の配車サービス運転手なども失業として現れません。しかし、フレキシブルワーカーに失業保険を受ける案内をするなど政府側も「失業」の認識は持っています。

 実は2021年に《中国のギグワーカーが2億人に 政府は推奨、待遇に課題も》が東方新報に掲載されており、《ギグワーカーというと代表的なのはデリバリー配達員。日本のウーバーイーツ(UberEATS)のように自転車で食事の配達をするだけでなく、プラットフォームサービスを介してあらゆる商品をバイクで配達しており、「消しゴム1個だけでも配達する」といわれるサービスを徹底している》とあります。

 フレキシブルワーカーは2021年に2億人いて、2026年に3億2000万人に膨れ上がるのです。政府公認分と合わせると実質の失業者は4億人にも達します。

 【2025年8月末でホームレス4750万人】

 有力な経済系メディアが内部報告書のデータで「ホームレス4750万人」とネットで伝えて、間もなく削除されています。ユーチューブ《Director's China Cafe 旧 澁谷司の 中国カフェ》の《[その動画はこれ!]こんな若いホームレス達を見たことありますか?》が内容を復元して伝えています。

 南部広東省の大都市の公園や橋の下で、部屋を借りられなくて布団や寝袋で生活している若いホームレスの画像が大量に投稿されています。4750万人は2020年比で5倍以上の激増です。このうち33歳未満が61%を占め、60歳以上は25%しかおらず、2020年では60歳以上が69%だったのと大きく異なっています。大学を出ても就職できない現状を反映しています。

 【資産のマンション暴落で中間層消滅】

 中国国家統計局が5月の主要統計で「消費動向を示す小売売上高は前年同月比で0.6%減。前月より0.8ポイント下落し、3年5カ月ぶりにマイナス」と発表しました。消費行動の核になる中間層がますます細っているからでしょう。

 造りすぎたマンション価格の暴落で1億人のローン延滞者が発生している上に、ローンを払い終えた層にも巨額の「含み損」が出来ました。消費に回す余裕はない、守りに入るばかりです。

 【持続可能でないインフラ投資借金】

 日経新聞が2025年12月27日付《中国に忍び寄る債務デフレ、借金がGDPの3倍 成長鈍化で負担感増》でこう伝えました。

 《金融機関を除く企業、家計、政府が持つ債務残高の対GDP比率は9月末時点で302.3%となった。初めて300%を上回った6月末から1.9ポイント高まった。債務残高は400兆元(約8900兆円)を超える規模になる》

 中国政府債務は「5月末でまだ約2380兆円」と発表されていますが、地方政府の隠れ債務「融資平台」の多くは勘定に入っていません。国有企業の無茶な投資行動やEV増産も政府の指示であり、トータルな債務の姿は「GDP3倍」に近いでしょう。

 さらに問題なのはインフラ建設がGDP嵩上げが目的で実施され、持続可能性が無視された点です。債務130兆円超の高速鉄道や40都市以上に建設された地下鉄が軒並み赤字運営になっており、これを補填する借金が年々積み上がっていきます。外国からの借金は返さざるを得ませんが、国内分は強権で踏み倒す未来すらも見えてきます。  【加速する高齢化に対処遅れ】

 上に引用した中国と日本の高齢化推移図は《急速に拡大する中国高齢者産業、日系企業に求められる事業戦略とは》からのものです。今年になって65歳以上が2億2000万人で14歳未満2億1436万人を上回ったと発表されました。14%以上を「高齢社会」、21%以上を「超高齢社会」と呼び、2030年代初頭にその範囲に入ります。

 中国は2028年末をめどに介護保険制度を導入する方針を掲げています。年金制度にも大きな穴を抱えており、途上国並みとも言えます。

 《中国の年金格差−最大29倍?広がる制度間の受給格差》が年金受給の現状を伝えます。

 《2023年時点で公務員の平均受給額(月額)は6,350元(約126,000円)と最も高い。これに対し、都市の会社員の平均受給額は3,743元(約74,000円)で、公務員の水準を大きく下回っている。さらに、都市・農村住民の場合は、223元(約4,400円)にとどまっている》

 放置されていた農村戸籍者5億人を最近になって年金制度に組み込んだ結果、生活保護水準にも達しない受給額です。現実に1億6000万人がこの額で受給しています。

 【GDP5%成長は2000万人雇用創出のお約束】

 GDP5%成長の看板を下ろせず、国家統計局が虚飾を張り続けるのは中国共産党の統治正当性を約束するものだからです。選挙で選ばれていない共産党は国民を豊かにした実績を統治の根拠にしてきました。新規学卒者1200万人を含めて毎年2000万人の新規労働者就職先を保証するのが絶対の課題であり、GDP5%成長がその目安でした。

 2023年の第674回「中国大卒就職難は中国政府の大勘違いから」で指摘したように、供給される人材と実社会の要請には大きな乖離があり、それを作り出したのは中国政府です。今さらにAIにのめり込んで大学の教育課程を大幅に変えつつあり、乖離度が拡大しそうです。

 中国の証券会社のアナリストでさえ「GDPは数年来、政府発表より3%引きが実態」と唱えて問題視されました。数年3%下駄を履かせ続ければ、累計10%以上も水増しになっています。GDPは実際には公表の半分だった旧ソ連のようになってきました。